分野別の取り組み
高齢者の福祉
わが国は2007(平成19)年に国民の4人に1人が65歳以上となり、超高齢社会(65歳以上人口が全人口の21%超)に突入しました。今後も総人口における高齢者の割合は増加し続け、2037年には国民の3人に1人が、2070年には約2.6人に1人が65歳以上となると推計されています(国立社会保障・人口問題研究所 日本の将来推計人口/令和5年推計)。一方で、少子化の進行はもとより、地域社会の機能や世帯構造が大きく変化する中で、高齢者介護・福祉のあり方が大きな課題となっています。
高齢者福祉は、長年にわたって社会の進展に寄与し、豊富な知識と経験を有している高齢者が、敬愛され、生きがいをもって健康で安心した生活を送ることができるよう、社会全体で支えていくことを目的に「老人福祉法」(1963年/昭和38年 公布)に基づいて発展してきました。
高齢者福祉制度の沿革
1970(昭和45)年に高齢化率が7%を超え(高齢化社会)、1994(平成6)年には14%を超える(高齢社会)など、急速に高齢化が進展するなかで、認知症高齢者の増加、核家族化の進行や家族の介護機能の低下などにより、高齢者の介護が社会の重要な課題となりました。
現在、高齢者に対するホームヘルプサービスや福祉施設の利用等、具体的なサービスの多くは2000(平成12)年に導入された介護保険制度のもとで実施されています。介護保険法に基づくサービスを利用するためには、あらかじめ介護の必要性や必要量についての認定(要介護認定)を受ける必要があり、市町村がその業務を行っています。
介護保険制度は国民生活への定着が進み、高齢期の生活を支えるためになくてはならないサービスとなりました。利用者数も増加の一途をたどっており、今後も国民の医療・介護の需要が増加することが見込まれています。このため、国ではいわゆる「団塊の世代」(約800万人)すべてが75歳以上となる2025年に向けて、「地域包括ケアシステム」の構築を掲げ、各種施策を推進しています。
地域包括ケアシステム
「重度な要介護状態になっても、住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、住まい、医療、介護・予防・生活支援が一体的に提供される」しくみ。
地域の高齢化の状況は、人口が横ばいで後期高齢者人口が急増する大都市部、後期高齢者人口の増加は穏やかでも人口は減少する町村部等で異なってくることから、地域包括ケアシステムは、保険者である市町村や都道府県が、地域の自主性や主体性に基づき、地域の特性に応じて創りあげていくことが求められる。
新規ウインドウで開きます。厚生労働省「地域包括ケアシステム」
介護保険制度については、地域包括ケアシステムの構築や制度の持続可能性をめぐり見直し検討が進められていますが、さまざまな課題が指摘されています。そして、課題への対応策として自立支援・介護予防に向けた取り組みの推進や、地域の実情に合わせた地域包括ケアシステムの深化・推進、給付や負担のあり方等が議論されています。
さらに、老人福祉法や介護保険制度(介護保険法)の他にも、さまざまな法律や制度が高齢者の安心・安全な地域生活を支えています。
法律としては、後期高齢者医療制度を定めた「高齢者の医療の確保に関する法律」や「福祉用具法」(福祉用具の研究開発及び普及の促進に関する法律)、「バリアフリー法」(高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律)等があります。とくに、2006(平成18)年には「高齢者虐待防止法」(高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律)が施行され、養介護施設従事者や養護者等による高齢者虐待の防止や早期発見に向けて、取り組みが進められています。
また、認知症高齢者を含む地域住民の権利を支援するための仕組みとして、「成年後見制度」や「日常生活自立支援事業」があり、とくに日常生活自立支援事業は社会福祉協議会が担っています。2023(令和5)年6月には、認知症施策の総合的かつ計画的な推進を目的とした「認知症基本法」(共生社会の実現を推進するための認知症基本法)が成立しました。
しかし、高齢者の生活を支えるためには、このような公的なサービスだけでなく、地域社会全体として、見守りをはじめとする「支え合い」や「助け合い」、インフォーマルなサービスの充実が大変重要になっています。介護保険制度においても、保険者である市町村が主体となって、多様な担い手による介護予防・生活支援サービスの充実を図りつつ、支え合い・助け合う地域社会づくりをめざして取り組みが進められています。
関係年表(高齢者の福祉をめぐる展開)
1951(昭和26)年 |
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1962(昭和37)年 |
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1963(昭和38)年 |
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1970(昭和45)年 |
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1980(昭和55)年 |
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1983(昭和58)年 |
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1985(昭和60)年 |
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1986(昭和61)年 |
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1988(昭和63)年 |
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1989(平成元)年 |
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1990(平成2)年 |
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1991(平成3)年 |
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1993(平成5)年 |
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1994(平成6)年 |
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1995(平成7)年 |
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1996(平成8)年 |
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1997(平成9)年 |
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1999(平成11)年 |
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2000(平成12)年 |
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2003(平成15)年 |
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2005(平成17)年 |
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2006(平成18)年 |
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2007(平成19)年 |
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2008(平成20)年 |
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2011(平成23)年 |
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2012(平成24)年 |
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2013(平成25)年 |
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2014(平成26)年 |
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2015(平成27)年 |
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2017(平成29)年 |
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2023(令和5)年 |
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