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ふれあいネットワーク 社会福祉法人 全国社会福祉協議会

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分野別の取り組み

国際福祉

アジアの社会福祉従事者の活動

全国社会福祉協議会では、アジアの社会福祉従事者を日本に招聘して行う研修事業を毎年実施しています。さらに、研修を終えた修了生が母国で取り組む福祉活動に助成を行っています。

リンク先でも修了生福祉活動助成事業の実施状況を、ショートビデオで、紹介しています。

障害者の起業支援

(マーチャさん/インドネシア)

マーチャさんの写真

マーチャ アディワラ プラウィタさん(インドネシア)
(Marcha Adiwara Prawita / Ms.)
日本での研修  2016年3月から2017年2月(第33期)
プロジェクト  2019年度 助成対象

<日本の研修での学び>

マーチャさんはアジア社会福祉従事者研修の第33期生です。インドネシアでは、ミン アール ウノ財団(Mien R.Uno Foundation)に所属し、若者の起業支援を通じ、若い世代の自立を促進するプログラムを担当していました。

さいきん インドネシアの じんこうは おおくなりましたが、しごとは すくなく、しつぎょうしゃが ふえてきました。だから しゃかいふくしのために 起業をしえんすることが ひつようです。(修了レポートより抜粋。原文のまま、以下同様)

マーチャさんは、平成28年3月に来日し、約4か月の日本語学習と施設見学を経て、2回の長期施設研修を経験しました。

しがけんの くさつにある しんこうセンター(滋賀県社会就労事業振興センター ※事務局追記)は、(略)しょうがいのあるひとの「こようを つくる、こように つなげる」ことを とおして、ちいきを げんきにします。そして ちいきを かっせいか します。(略)しょうがいのあるひとは できることと できないことがあります。このことは ふつうのひとも いっしょです。ですから しょうがいしゃも ひつようなときに ひつようなしごとや せいかつなどを じぶんですることが できるとおもいました。

マーチャさんは修了レポートで、研修で学んだことを帰国後の仕事につなげるビジョンを記しています。

インドネシアに かえったら、しょうがいしゃ のために 起業きょういく の プロジェクトを つくりたいと おもっています。インドネシアは しょうがいのあるひとの しごとは とてもすくないです。ですから、しょうがいのあるひとは じぶんで起業をするのが いいとおもいます。
{ しょうがいの あるひとが じぶんで起業をする → おかねをもらう → せいかつができるようになる → しょうらい ほかの しょうがいのあるひと や ふつうのひと のための しごとを つくることにもなる → しゃかいが げんきになる }とおもいます。

<帰国後にプロジェクトを実現>

インドネシアに帰国して2年後、マーチャさんから、国際社会福祉基金が助成する「修了生福祉活動助成事業」の申請書が届きました。「インクルーシブな起業講座(Inclusive Business Class)」と題されたプロジェクトは、西ジャワ州のバンドンで起業を希望する障害者を対象にビジネス講座を開き、起業のモチベーションやスキルを高めることで、障害者の経済的自立を支援する、というものです。

SNSで発信したり障害者団体を訪問してプロジェクトを紹介し、59名に上る申請から20名の参加者を選出しました。起業するための心構え、マーケティングや生産工程の研修、事業計画づくりなど研修内容は広範にわたり、起業トレーナーやマーケティングの専門家を講師に迎えました。プロジェクトの後半期には、ろうけつ染め布地を生産する企業を訪問したり、参加者自身の製品を地域の展示会で販売するなど、実践的なプログラムも行いました。

プロジェクトの成果は、12名が最後まで講座に参加、うち6名が実際に新事業をスタート、というものでした。このプロジェクトへの全社協の助成金は約38万円です。講師謝金や資料印刷、会議室賃料等に充てられました。マーチャさんは、プロジェクト終了後に新たな財団を設立し、さらなる事業の拡大をめざしています。

  • 講師の話を聞く参加者たちの様子
    起業についての講義
  • 2、3人組に分かれての話し合いの様子
    参加者同士で事業の課題について話し合う

ストリートチルドレンの居場所づくり

(ウィルマーさん/フィリピン)

ウィルマーさんの写真

ウィルマー カサクロン デラ ロサさん (フィリピン)
(Wilmar Casaclang Dela Rosa/Mr.)
日本での研修  2006年3月から2006年12月 (第23期)
プロジェクト  2018年度 助成対象

<日本の研修での学び>

ウィルマーさんはアジア社会福祉従事者研修の第23期生です。フィリピンでは、首都マニラのカンルンガン・サ・エルマ財団(Kanlungan Sa ER-MA Ministry Inc. )に所属し、ストリートチルドレンを支援するプログラムを担当しています。

平成18年3月に来日し、約3か月半の日本語学習と施設見学を経て、後半は、福岡県の社会福祉法人で、母子生活支援施設、児童養護施設、保育園等を中心に研修しました。

母子が安心して安全に生活できるせわをするのはたいへんなしごとだと思いますが とてもやりがいのあるしごとだと思いました。先生がたは子どもたちのおせわをしながらいろいろなことをおしえています。ですから子どもたちのおかあさんはしごとをすることができます。母子には自立生活しゅうろう支援を行って、母子のちいきへのいこうをすすめていました。それはフィリピンのみちにすんでいるかぞくにも大事なことだと思います。(修了レポートより抜粋。原文のまま、以下同様)

ウィルマーさんは修了レポートで、研修で学んだことを帰国後の仕事につなげるビジョンを記しています。

フィリピンへかえってしたいことは、1)フィリピン人にちてきしょうがいしゃのことをりかいしてもらいたい 2)日本の母子生活支援施設についてフィリピンの私の施設やほかの社会福祉施設のひとに話したい 3)フィリピンには0さいから6さいまでのストリートチルドレンがたくさんいますから、できればほいくえんをつくって トイレやおしょくじのしかたなどについておしえたいと思います。

<帰国後にプロジェクトを実現>

フィリピンに帰国して12年後の平成30(2018)年、ウィルマーさんは、全国社会福祉協議会が運営する「修了生福祉活動助成事業」に助成申請しました。「路上生活青少年に対する教育プログラムと居場所の提供(Street Education Program and Open Day Center)」と題されたプロジェクトは、マニラのマラテ・エルミタ地区で路上生活を送る青少年を対象に教育プログラムを実施し、またオープン・デイ・センターを開設して、居場所を提供するというものです。

ストリートチルドレンの多くは、家庭の崩壊や貧困から逃れるために家庭を離れる。女児の場合、家族から性的虐待を受けていたケースも多い。彼らは路上で生き抜くために、ごみ漁り、靴磨きなどの手段で生活費を得るだけでなく、同じような状況の仲間たちに影響されて、違法薬物やそのほかの非行に走る者、ひったくりやスリ、売春などに手を染める者もいる。(助成プロジェクト報告より抜粋。英文レポートを国際部が翻訳。)

栄養失調や睡眠不足、薬物の使用や依存、性的搾取は、身体・心理・社会的発達を遅らせます。ウィルマーさんは、日曜日を除く週6日の9時から17時まで、オープン・デイ・センターを開設し、さまざまなプログラムの提供を始めました。

栄養・衛生面では、食事やおやつの提供、学校に通う子どもへの弁当の提供、入浴や爪切りや耳そうじの機会の提供、歯ブラシなど日用品の提供、シラミ治療、体重計測などのほか、動物に咬まれたり交通事故による傷の治療、虫歯のケア、等を行いました。

心理的支援や家族への支援としては、特に介入が必要なケースには家庭訪問を行って家族と対話したり専門機関につなぐほか、子育てセミナー、父親を対象に“よき夫、よき父”となるための学びの機会の提供、家族機能の回復を図るための家族キャンプも行いました。

教育的支援としては、文房具の提供、デイ・センターでの学習支援、ボランティアも参加するプレイデイ、合同誕生日会を行いました。遠足に行き、初めて動物園に行く子どもたちと楽しい時間を過ごしました。12~17歳の子どもたちには、劣悪な児童労働の環境改善や権利擁護について学ぶプログラムも提供しました。

これらのプロジェクトへの助成金は約32万円です。おやつや弁当、誕生会のケーキ、家庭訪問や遠足・キャンプの交通費、医薬品や歯ブラシ、文房具の購入等に充てられました。ウィルマーさんは、子どもたちだけなく家族全体を巻き込んで権利擁護の理解を深めたり、他のNGOとの協力体制を強化して、ストリートチルドレンや地域の子どもたちを支援するために、このプログラムを継続していきたい、と考えています。

  • 外でテーブルを囲んで座る子どもたちの様子
    おやつの時間
  • 家族を対象にしたミーティングをしている様子
    家族を対象にしたミーティング

*本プロジェクトは、公益財団法人日本社会福祉弘済会の助成を得て実施しました。

貧困家庭の青少年の自立支援と生活意欲の回復

(エリータさん/フィリピン)

エリータさんの写真

エリータ B. ヘレッロ さん (フィリピン)
(Elita Ballucanag- Herrero / Ms.)
日本での研修 1986年 (第3期)
プロジェクト 2018年度 助成対象

エリータさんはアジア社会福祉従事者研修の第3期生です。現在、フィリピン北部のバギオ市で、チャイルド&ファミリー・サービス・フィリピン(Child and Family Service Philippines, Inc )に所属、活動しています。

エリータさんが取り組む事業の一つに、バギオ市近辺の貧困家庭の青少年を対象にした自立支援事業があります。対象者82名の中には、触法行為により社会復帰プログラムを受けている者、不登校や非行に走る者、貧困を理由に退学した者もいます。そういう若者に日常生活のスキルを学ぶ勉強会や金属溶接の職業訓練の機会を提供し、就職に必要な能力を身につけさせ、社会復帰や就職の支援、少年犯罪の抑止、ひいては家族や地域に貢献できる人材となるよう支援することが事業の目的です。このプロジェクトの実施にあたり、エリータさんは、全国社会福祉協議会が運営する「研修修了生福祉活動助成事業」に平成30(2018)年度に助成申請しました。

プログラムは多岐にわたります。「同僚とのトラブルへの対応」や「課題解決と意思決定」等の勉強会に参加することで、対人関係のスキルが向上し、学校に戻る意欲が出てきた若者もいます。また、災害発生時のリスクを低減するため、応急処置や水難事故の救助方法等に関する研修を受けて、応急処置チームの資格を得た者もいます。女性や子どもに対する暴力の防止、薬物乱用についてのセミナーには、若者たちの家族も参加します。

職業訓練は、シールド金属アーク溶接の技術を学ぶもので、フィリピンの技能教育の所管庁の認定要件に則ったプログラムで、2018年は67名が国家資格を取得しました。就職活動に備えて、応募書類や履歴書の準備や模擬面接なども行います。

このプロジェクトに対する助成金は約32万円です。溶接機や研磨機、建築資材や工具の購入等に充てられました。エリータさんは、今後、児童虐待やネグレクト防止を支援するプログラムの実施にも取り組みたい、と考えています。

  • 地元警察から講師を招聘したセミナーの様子
    セミナーには地元警察から講師を招聘
  • 金属溶接の実習
の様子
    金属溶接の実習

*本プロジェクトは、公益財団法人毎日新聞東京社会事業団の助成を得て実施しました。

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