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ふれあいネットワーク 社会福祉法人 全国社会福祉協議会

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分野別の取り組み

子どもの福祉

地域の赤ちゃん・ママのための「ご近所さん事業」
(大田区社会福祉協議会)

取材時期:2023年7月
取材者:全国社会福祉協議会 児童福祉部

取り組みの背景

昨今、多くの0歳児のお母さんは家で赤ちゃんと2人きりで過ごしています。男性の育児休暇も推進されていますが取得者はまだまだ少なく、取っていたとしても2週間程度が1番多いというデータがあります。そのため、2週間を過ぎると家でお母さんが1人で子育てを担い、孤立している状況があると考えています。

そういった孤立しがちな子育て家庭が、地域の住民やお母さん同士でつながることができれば、子育て世帯の孤立防止や不安解消、さらには虐待予防という効果が生まれると考えています。

また、地域づくりという意味からも、「地域ぐるみで子育てをしていく社会をつくる」というコンセプトでこの事業を立ち上げ、活動しています。この「地域づくり」という側面を重視して事業を展開していくところに、社協の取り組みとしての独自性があると考えています。

取り組みの概要

2022(令和4)年度より東京都の「予防的支援推進とうきょうモデル事業」を活用し、事業開始。

※ 2023(令和5)年度も継続

《ご近所さん事業(地域の赤ちゃん・ママの子育て応援)》

【概要】
「ご近所さんサポーター(地域の無償のボランティア)」が、月に1回、乳児を抱える家庭におしりふきなどの子育て用品等を持参し、玄関先での話し相手、地域の有益な情報の提供、地域のサロン等への案内・つなぎ役を担う。
【利用対象者】
区内0歳児童を養育している家庭(1歳到達で終了)
【利用料】
無料
【実施地域】
大田区 大森東特別出張所管内、嶺町特別出張所管内(それぞれ約100世帯)
【利用可能時間】
月曜から土曜 9時から19時(年末年始除く)
【提供方法】
地域のサポーター(無償のボランティア)が玄関先で手渡しします。
【利用者数】
45名(2023年7月末時点)
【登録訪問員】
64名(2023年7月末時点)

ほほえみごはん事業で紹介している「絆サポーター」の仕組みがありますが、この事業では、より「赤ちゃんを共に育てる」ということを念頭にボランティアさんを別枠で募集し、「ご近所さんサポーター」として活動いただいています。育児経験のあるお母さんたちが経験を活かし、手軽なボランティアとして活躍できないかという思いと新たな担い手を掘り起こす意味を込めています。

小学生以上の子どもをもつ保護者をターゲットに、対象地区の小学校にお願いしてサポーター募集のチラシを配布してもらいました。多くの反響があって、いまは利用者さんよりもサポーターさんの方が多く登録されています。

利用者さんには、お母さんがどこかにつながってほしいという思いで、児童館のイベントやママサークルなどの地域の情報をキャッチして、お伝えしています。訪問時に手渡すだけでなく、LINEでも配信しています。

利用者さんとは、「赤ちゃんかわいいね」など何気ない会話で終わることもありますが、サポーターさんがお医者さんや保健師さんに聞くほどでもない身近な出来事などを聞いてくれるような存在になってくれたらいいなと思います。

「離乳食が始まる」とか、そういうちょっとしたことを、昔はおじいちゃんおばあちゃんなど聞くことができる人がいましたが、そういう感覚でお話をしてくれたらと思います。

気をつけていることは、やはり子育ての方針も人それぞれなので、あまり深刻な話に深入りしないようサポーターさんには伝えています。このように、私たち社協の職員はコーディネートの役割を担うと考えています。

また、育成も重要です。サポーターさんの知識・コミュニケーション能力の向上のため、定期的に「ご近所さんサポーター交流会」を実施しています(令和4年度は3回開催)。

また、ご近所さんサポーターのコアメンバーとして協力いただいている方々と課題共有を含めた話し合いをしています。今はサポーターさんが一人で訪問していますが、力量を上げるためにもベテランサポーターと新人サポーターが一緒に行くなど一緒になっていろいろなアイデアを考えていただくので本当に心強いです。

さらに、専門的なサービスや有償のサービスは利用者さんを「お客様」の立場に立たせてしまい、かえって支えあいの地域づくりにつながらないこともあるように感じています。「ほほえみごはん」もそうですが、「ご近所さん」というストレートな名称にしているのは、そのような地域で支えあうつながりを取り戻したいという思いを込め、地域の担い手が取り組みやすい内容にしています。

対象者へのご案内としては、大田区では助産師や保健師が生後4か月までの赤ちゃんがいる家庭を全数訪問していますが、その際に対象地区にはこの事業を案内いただいています。赤ちゃんが生まれた家庭には必ず周知しており、そのなかで2割程度の方が利用につながっています。また、大田区社協のHPやSNSでも周知しています。

現状は出産したご家庭に「ご近所さん事業」を案内していますが、産前からお母さんにアプローチした方がいいと思っています。利用者さんもいまは共働き世帯が多いので、出産前の段階から伝えられるかということが一つ鍵なのかなと考えています。

また、母子保健などの行政機関と緊密に連携しています。月に一度は定例会を開催し、事業実施状況の報告や支援が必要な方の有無等について共有しています。

乳児を抱えて立つ母親の写真
利用者さんと赤ちゃん

地域の赤ちゃん・ママのためのご近所さんサポーターを紹介します
サポーター紹介のチラシ

今後の展望、課題

少子化とはいえ大田区では年間5千人の赤ちゃんが生まれており、そのうちの2割である約千人が利用者として想定されますが、サポーターさんの確保とうまく機能するようコーディネートすることが課題です。

これからの展望ですが、住民の方々がつながりあって助けあう地域をつくるには、長期的な視点で、ボランティア活動を育むことが必要だと考えます。

大田区社協で取り組む事業を本当にいい事業にしていくために、長い時間をかけて地域に合った活動を継続していくことが大切です。20年30年後にボランティア精神あふれる人がこの地域にたくさん生まれ、支えあいの文化が地域に根付くよう活動していくことが社協の役割と考えています。

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