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ふれあいネットワーク 社会福祉法人 全国社会福祉協議会

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分野別の取り組み

子どもの福祉

「ほほえみごはん」あなたのおうちに笑顔と食料を届けます
(大田区社会福祉協議会)

取材時期:2023年7月
取材者:全国社会福祉協議会 児童福祉部

取り組みの背景

大田区社会福祉協議会(以下、大田区社協)では、10年以上前から65歳以上の方や障害のある方の希望者を対象に、安否の確認や地域の情報をお届けすることを目的に、月に2回程度「ほほえみ訪問事業」に取り組んでいました。

2020(令和2)年度、大田区内で3歳の女の子が家庭内で1週間放置され亡くなる大変痛ましい虐待事件が発生しました。大田区社協では二度とこのような事件が起きないよう、子育て家庭が孤立することなく、地域の見守りや支えあいの中で安心して子育てできる地域づくりをめざした取り組みを行うこととしました。

検討を始めた時期がコロナ禍と重なったことから、地域の企業や個人から食料の寄付が多く集まっており、元々取り組んでいた「ほほえみ訪問事業」といただいた寄付を掛け合わせて、0歳から18歳の子どもがいる子育て世帯を対象とした「ほほえみごはん事業」を、2020年11月より開始することとなりました。

取り組みの概要

本事業は、地域の「絆サポーター(ボランティア)」による、子育て世帯への、「つながり」と「食の支援」を行う事業です。具体的な事業内容は以下のとおりです。

《ほほえみごはん(子ども宅食事業)》

【概要】
区内の子育て世帯へ、地域のボランティアが1か月に1回(年12回)、食料等を直接ご家庭にお届けします。
【利用対象者】
0歳から18歳の子どもがいる世帯のうち、本事業による見守りの必要があると認められる世帯
【利用料】
無料
【主な提供内容】
精米、パックご飯、袋めん、缶詰、菓子、レトルト食品、ジュース等(フードドライブ等にて寄付いただいたもの)
世帯の状況に応じ、乳幼児食、衛生用品、学用品等を提供します。また地域の子育てに関する情報を提供します。
【利用可能時間】
月曜から土曜 9時から19時(年末年始除く)
【提供方法】
地域のサポーター(無償のボランティア)が玄関先で手渡しします。
【利用世帯数】
92世帯(2023年6月末時点)
【登録訪問員】
70名(2023年6月末時点)※ 絆サポーターのうち、実際に訪問している方の実数
【財源】
令和2、3年度:大田区社協自主事業
令和4年度:補助事業(大田区)
令和5年度:委託事業(大田区)

大田区社協では、日常の家事支援を行う「絆サポート」、生活上のちょっとした困りごとをサポートする「助っ人サービス」、そして前述の「ほほえみ訪問」に取り組んでいますが、その担い手が地域のボランティアである「絆サポーター」です。大田区在住の18歳以上の方が登録でき、10代から80代まで多世代の方が登録されています。「ほほえみごはん」事業も、絆サポーターが子育て家庭を訪問しています。サポーターさんの訪問件数はまちまちですが、自身の都合にあわせて一人当たり1件から4件程度を担当しています。

ほほえみごはん事業の利用希望者がいらっしゃると、まずは大田区社協の職員が希望者の自宅を訪問し、ご家庭の状況をヒアリングします。その後、利用希望者の居住地域、訪問希望時間などを踏まえ、サポーターさんとのマッチングを行い、利用開始となります。利用者とサポーターさんの双方が安心できるよう、初回訪問には社協職員が同行することにしています。

働く親世代が利用しやすいよう、活動時間は19時まで、土曜日も利用可能としており、必ず手渡しで食料や情報をお届けしています。一斉配送の仕組みを作れば利用者数を伸ばすことができるかもしれません。しかし、本事業の目的は品物を届けるだけでなく、一人ひとりの家庭の気持ちに寄り添い、つながりづくりのきっかけとなることなので、必ず訪問して手渡しをするようにしています。

届ける品物は各家庭の希望をできるだけ聞くようにしています。例えばアレルギー対応は当然のこと、「レトルト食品は子どもが全然食べない」、「カップ麺は嬉しい」といった細かい希望もお聞きしています。この声に応えることで利用者さんに喜んでいただくこと、さらにサポーターさんがその喜ぶ姿をみることで、活動を続けるモチベーションにもつながっています。

品物は担当サポーターさんのご自宅に配送するのですが、事業を始めた当初はその荷造りがとても大変でした。フードドライブで培ったノウハウを活用しつつ、現在はサポーターさんと一緒に荷造りする仕組みが整いました。

玄関で食料等が入ったバッグを手渡すサポーター
訪問風景

取り組みのなかで大切にしていることは、サポーターさんの活動をサポートすることです。サポーターさんは利用者さんのご家庭を一人で訪問していますので、なにかあれば大田区社協にLINE(ライン)で気軽に相談できるようにしています。先輩サポーターと交流できる連絡会も開催しています。

連絡会での約25名の集合写真
サポーター集合写真

また、利用者さんも大田区社協にLINEで連絡が取れるようにしています。大田区社協からは地域の子育て情報を配信しています。連絡手段をLINEとしていることもポイントのひとつです。シンプルなやりとりで完結するのでスムーズですし、電話や訪問と併行して活用しています。

利用者さんから、子育てに関する相談や経済的に困っているような相談を受けることもあります。大田区社協内には地域福祉コーディネーターが配置されており、生活福祉資金の貸付も受け付けていますので、社協内の各支援につなぐことができます。また社協だけでなく、子ども家庭支援センターや子ども食堂など、関係機関につなげることもあります。

2022(令和4)年度からは区の補助事業となったこともあり、区内の児童扶養手当受給世帯を対象に、本事業の利用案内をしました。QRコードを読み取りLINEから申請できるようにしたところ、多くの申込みにつながりました。今年度からは委託事業となったため、すべての希望者を早期に利用開始できるよう人員を増やして体制を強化しています。

今後の展望、課題

課題としては、利用を希望される方に対し、サポーターさんの数が足りないことです。現在活動している絆サポーター以外にも、例えば区内にある社会福祉法人などにお声かけしてお手伝いいただくことができないか、福祉施設などの職員さんが個人的に絆サポーターに登録されている事例はありますが、区内の社会福祉法人などと連携しながら、新たな手法で幅広い分野の方々と協働していけたらと思っています。

また、大田区は広く、人口も多い都市です。今後、様々な団体と連携しながら、どのようにネットワークを構築していくかが課題であり、展望と考えています。

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